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2009.07.25  日野原重明先生と握手

2009.7.12
昨日(711日)は、母校、甲府第一高等学校の同窓会に行って来た。

97歳でいまだ現役で大活躍の聖路加病院名誉院長の日野原重明氏が講演においでくださった。私は常々、日野原氏の私意の無い明るく快活な活躍ぶりに喜びと爽やかさを感じるとともに尊敬の念を抱いていた。是非ともお話をお聞きしたいとわくわくして参加した。

今回の講演会は、日野原氏が、かつて第55代総理大臣の石橋湛山氏の主治医だった。石橋湛山氏は母校甲府第一高等学校の卒業生。そして、今回の同窓会の幹事が日野原先生の息子さんと職場がご一緒(NHK)等のご縁で成立した。お話は石橋湛山氏の高潔な人柄や業績について、また健康の秘訣や新老人の会のことなど、今後の私の生き方にも大きな示唆を与えられるものだった。講演会終了後、別室でお会いし、サインをしていただいたり一緒に写真を撮っていただいたりすることもできた。

日野原先生は、私が提携しているさくら国際高等学校の支援者でも在られ、昨年の卒業式には上田市まで出向かれ、生徒や職員にお話をしてくださったと聞いている。私が名刺をお渡し、さくら国際高等学校のサポート校になっていることをお話すると、「そうですか、頑張ってください。応援しています」としっかり手を握ってくださった。その手は、真綿のように柔らかくて温かく、心が優しく包み込まれるような感じがした。

《日野原重先生のお話》 演題 ― 石橋湛山先生と私&生涯現役100歳を生きる―
― 寛恕の人湛山先生 ―
まず、NHKテレビの「そのとき歴史が動いた」で放映された石橋湛山氏の活躍ぶりが同窓生のナレーションと共にダイジェストで写された。首相の座を決める決選投票で、259251で、石橋湛山氏が岸信介氏を下し首相の座に就いた。しかし脳梗塞に倒れ、二ヶ月で総理大臣を辞職する。その後単独で中華人員共和国の周恩来首相に会い、中日米ソ平和同盟を提唱。「日本と中国は両国民が手を携えて極東と世界の平和に貢献すべきである」という石橋・周共同声明を発表。そのことが効を奏し1960年、中国との貿易が再開し、この声明が後の日中共同声明に繋がったということだった。以下日野原先生のお話。

湛山先生は、日蓮宗総本山身延山久遠寺の第81代法主の長男として生まれ、10歳で、後に83代久遠寺法主となる長遠寺住職望月氏に預けられました。その後山梨県立甲府第一中学(現甲府第一高等学校)に進みました。そこで、札幌農学校(現北海道大学)でクラーク博士の薫陶を受けた大島正健校長に出会い、大きな影響を受けました。以後、湛山先生の枕元には日蓮遺文集と聖書が置かれていたといいます。また、湛山先生宅の玄関には「いたずらに思い煩うな。野の百合を見よ」という、キリストの言葉が掲げられていたそうです。湛山先生は仏教とキリスト教を根源的なところでタッチされ、アウフへーベン(aufheben止揚)された方でした。

惜しくも病に倒れられ、二ヶ月で総理を辞職されました。残念でありますが、その潔さと勇気には感銘を受けました。退くには勇気と決断力が必要です。18年間お世話をさせていただいて、湛山先生はまさにキリスト教で言うなら「愛の人」、仏教的に言うなら「慈悲の人」でした。愛とは寛大な心で許すことであり、慈悲とは困っている人がいたら共に悲しむ心のことです。湛山先生は寛大な寛恕の心のお方でした。911事件を例に挙げるなら、共に悲しみ「今度からするなよ」と言えばテロはなくなるのです。やっつけようとするからテロはなくならないのです。

湛山先生は一人ひとりが自立して物が考えられる人間になることが大事だとおっしゃっていました。また、宗教の力をいただく必要があるとおっしゃっていました。私も一人ひとりの人間が本来の宗教心を持ち、変わらなければ日本は変わらないと思っています。

― 長生きの秘訣はhungry
。(吸うより吐く、takeよりgive) ―
私たちの命とはいったい何なんでしょう。心臓でしょうか、体でしょうか。いいえ、どちらも土になる、土でできたと言ってもいい土の器なのです。命とは目には見えないものです。本物は、本当に大事なものは、目には見えないのです。時間も目には見えません。私は「使える時間があることが命があること」だと思っています。時間を何のためにどう使うか大人になったものは考えなければなりません。

私は、その日によって若干異なりますが、だいたい寝るのは1時か2時頃、起きるのは6時頃。118時間仕事(活動)していますが、生きがいを感じ充実した時間を過ごしているため、疲れません。床に入ると2分で熟睡。うつ伏せに寝るのが理想的。朝起きたとき良く眠った爽快感が得られます。特別に運動する時間は取れないので、生活の中で、簡単な体操をしたり早足で歩いたり、荷物を持ったまま階段を二段ずつ上がったりなどして意識して体を動かすようにしています。摂取しているカロリーは毎日約1300Kカロリー。そのうち1200Kカロリーは基礎代謝に使われるので、残りの100カロリーで、講演、治療、教育、執筆活動をしているのです。

例えば3000円のバイキング料理なら、4500円分も食べるから病気になる。1500円分にしておけば健康でいられる。いろいろな実験からもハングリーの方が長生きできることがわかっています。そして、集中して仕事をしていれば空腹は感じません。

健康で長生きをするコツは、熟睡することと、適度な運動をし食べ過ぎないこと、生きがいを持つこと、それにもう一つ、ゆっくり深い呼吸をすることです。ヨーガなどでは1分間に2回と言われていますが、長い息は、長生きに通じるのです。そして深く長い呼吸をするためには、まずよく吐くことが大切なのです。長く吐くことで、体内の炭酸ガスが放出されます。放出されれば、自ずと新鮮な空気が入っていくのです。つまり、takeよりもgive、が大事なのです。

― 希望と勇気を持って天に非戦のサークルを描こう ―
誠に残念ですが、現在の政治家は恥ずかしいような政治家ばかりです。今のような状況ではとうてい文化国家とは言えません。政治家が情けない状態なら、自分たちで政党に頼らない運動を立ち上げやっていく必要があります。私は湛山先生の遺志を継いで、不戦ではなく非戦の世の中にしていきたいと思っています。新老人の会を作り募金をつのったところ、予定していた一億円以上が集まりました。お陰で江戸時代に漂着したジョン・万次郎が育てられたアメリカの家の修理が済み、永久建築物として保存されることになりました。核兵器を無くすための会議が、オバマ大統領をはじめ世界の要人を招いて、その建物の中で行われたらいいなと思っています。

新老人の会は、75歳以上のシニア会員、60ー74歳のジュニア会員、2059歳のサポート会員からなっていて、全国に31の支部を設けて活動しています。会は、「愛し愛されること」「創めること」「耐えること」を合言葉に、地域に根ざした活動をしています。年会費は、シニア、ジュニア会員が10000円、サポート会員が5000円です。夫婦で入会された場合は二人でこの金額です。現在約4万人の会員がいます。みなさんも、是非ご一緒に活動していきましょう。

人は誰と出会うかがとても大事です。誰と出会い誰と共に道を行くか。そしてどのように行動に移していくかが大切なのです。ブラーミンという詩人は天に大きなサークルを描きなさいと言いました。私は人々が生き生き楽しく生きていくためには希望と勇気が大切だと思います。真に平和な世の中になることを願い、お互いに希望を抱いて手をつないで、勇気をもって活動していきましょう。皆で天に大きなサークルを描いていきましょう。 
                                                     ―以上―

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「新老人の会」の新老人という言葉にも、シニア会員(75歳以上)、ジュニア会員(64ー74歳)、サポート会員(2059歳)の言葉にもユーモアを感じ、笑いがこみ上げてきました。前から三列目に席を取り、先生の表情や仕草をしかと見ながらお話をお聞きしました。長い間学び、研究し、働き、多くの人の病や死に接し、多くの人の心身を癒してこられた先生の、大きさ優しさが伝わってきました。私は、人の一生を「芽を出し、青々と茂り実を結び、熟し、成熟し、美味しい果汁や、栄養、喜びを人々にふんだんに与える・・・」と、果実になぞらえて書かれていた文章を思い出しました。日野原先生はまさに、たわわに実り、熟し、熟成され、人々に美味しい果汁を惜しみなく与えてくれている。

本来老人になるとは熟していくことなのでしょう。私も還暦を迎えましたが、まだまだ青いと感じました。成熟まで行かなくても、せめてしなびて落ちてしまわないように、そしていささかなりとも、後に続く人に、私なりの味のある甘い汁を差し上げられるようになりたいものだと思いました。

今このように生かされていること、そして奇しくも出会うことができた日野原先生、同窓生の皆々様、そして日野原先生が「日本人の肖像をもつ第一人者」とおっしゃる、我が高等学校の大先輩であられる石橋湛山先生に心から感謝いたします。

ありがとうございます。

投稿者 tao-kyo | PermaLink | トラックバック(0)